こんにちは。
50代独身、実家暮らしのいさこです。
せつないタイトルに惹かれて手に取った『最後は会ってさよならをしよう』。
140字という短い物語なのに、読み終えたあとに情景や感情がじんわり残りました。
短いからこそ、言葉がまっすぐ胸に届く一冊でした。
最後は会ってさよならをしよう
(著)神田 澪
出版社のサイトでの説明は以下の通りです。
Twitterで、140字ぴったりで完結する物語「超短編小説(スーパーショート)」を綴る作家・神田澪。
恋愛、ミステリー、SF……涙の感動作からクスッと笑えるコメディまで。わずか140字の先に、想像もしないラストが待っていると話題沸騰!そんな神田澪待望のデビュー作がついに登場! これまで書き続けた千篇以上の作品の中から厳選して掲載しました。
表題作はもちろんのこと、Twitter上で17万いいねを記録した絶大な人気作のほか、さらに書き下ろし作を多数加え収録。
株式会社KADOKAWA公式サイト
得意とする140字作品を基軸に、140字小説を連ねた初の「連続ショート作品」に、初発表のエッセイや中編など、さまざまな形態のものがたり合計141篇を収録した本作は、まさに「ものがたりの宝石箱」。
(https://www.kadokawa.co.jp/product/322006000359/)
読んでまず驚いたのは、140字という短さです。
ほんの数行しかないのに、その場の空気や登場人物の気持ちが自然と頭に浮かんできます。
短い文章だから説明は多くないのに、不思議と景色が見えてくる。その表現力に思わず引き込まれました。
短いからこそ、読む側が自分の記憶や感情を重ねやすいのかもしれません。
いちばん印象に残った「十九歳の夜」
特に印象に残ったのは、「十九歳の夜」の中にあったこの言葉です。
やりたいこともないくせに、何かをやり残した気がしていた。
(最後は会ってさよならをしよう)P126より
この一文を読んだとき、思わず立ち止まりました。
誕生日の前日。
新しい年を迎える前の年末。
そういう節目の日になると、わたしもふと同じような気持ちになることがあります。
特別な出来事があったわけでもないのに、どこか気持ちが落ち着かない。
まだ何も始めていないような、何か大事なものを置いてきたような、そんな感覚です。
それを言葉にするのは難しかったけれど、この一文はその曖昧な気持ちをすっと言い表してくれました。
「こう感じていたのはわたしだけじゃないんだ」
そう思えたことが、静かにうれしかったです。
小説とは少しちがう読書の楽しさ
この本は、一般的な小説とは少しちがいます。
長い物語を追いかけるというより、短い言葉の中にある余白を味わう本でした。
ひとつひとつの話は短いのに、そのあとに自分の中で考える時間が生まれます。
読み終えたあとも、しばらく言葉が残る。そんな読書でした。
本を読むのが苦手な人にもおすすめ
「本を読むのが少し苦手」
「長い文章はなかなか集中できない」
そんな人にこそ、最後は会ってさよならをしようは読みやすいと思います。
一編が短いので、少しの時間でも読めます。
それなのに、読み終えるとちゃんと何かが心に残る。
短い言葉の中にある余韻を楽しみたい人に、そっとおすすめしたい一冊です。


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