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認知症の薬をやめたら父が穏やかになった話【介護体験記 第2章 #07】

父の介護記録

初めての精神病院受診

こんにちは。
50代独身、実家暮らしのいさこです。

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父が110番通報をしてしまったことをきっかけに、新たに紹介された精神病院。

予約から10日ほど待ち、ようやく受診の日を迎えました。

このころの父は、認知症薬の副作用の影響なのか、とても落ちつきがなく、怒りっぽい状態が続いていました。

わたしたち家族は、少しでも状況が良くなることを願いながら病院へ向かいました。

最初の認知機能テストから大苦戦

病院ではまず心理師さんによる認知機能テストが行われました。

ところが父は機嫌が悪く、質問にまともに答えません。

途中から不機嫌さが増し、結局テストを最後まで受けることができませんでした。

心理師さんは申し訳なさそうに、

「今日は最後までできませんでした。すみません」

とおっしゃいました。

でも謝りたいのはこちらのほうです。

認知症の方への対応に慣れているはずの心理師さんでもむずかしい状態だったのだと思います。

CT検査でも不機嫌な父

続いて頭部CT検査を受けることになりました。

しかし父は、

「なんでこんなことをさせられるんだ」

と言わんばかりの表情。

終始不機嫌なままでした。

わたしは検査技師さんに何度も謝りましたが、

「大丈夫ですよ」

と優しく対応してくださいました。

きっとこうした患者さんにも慣れていらっしゃったのでしょう。

その言葉に救われたことを覚えています。

医師に家族の限界を伝えた

最後は医師の診察です。

しかし父は質問にもまともに答えず、コミュニケーションが取れません。

そこでわたしたち家族が、これまでの経緯や問題行動について説明しました。

そして何より、

「家族が本当に困っています」

ということを必死に伝えました。

すると医師は、

「まずは認知症の進行を遅らせることよりも、今出ている症状を抑えましょう」

とおっしゃいました。

そして抗精神病薬を処方してくださいました。

抗精神病薬で父は驚くほど落ちついた

先生からは、

「落ちつきはしますが、少し無気力になるかもしれません」

と説明を受けました。

それでも当時のわたしたちにとっては、藁にもすがる思いでした。

そして実際に服用をはじめると――

驚くほど父が落ちついたのです。

あれほど怒りっぽかった父が穏やかになり、家族の負担は大きく減りました。

久しぶりに安心できた瞬間でした。

認知症薬を変えても副作用が続いた

その後の診察で、認知症薬も変更されました。

軽度認知症向けの薬から、中等度から高度アルツハイマー型認知症向けの薬へ。

しかし残念ながら、この薬も副作用が強く出てしまいました。

父はそれまでにも複数の認知症薬を試していましたが、どの薬でも怒りっぽくなり、まるで人格が変わったように見えました。

もちろん認知症が治る病気ではないことは理解しています。

少しでも進行を遅らせたい。

その一心で病院を変え、薬を試し続けてきました。

でもわたしたちには大きな疑問がありました。

「認知症の薬を飲まない」という選択

ある日、わたしは医師に聞いてみました。

「認知症の薬を飲まないという選択肢はありますか?」

すると先生は、

「ありますよ」

と答えました。

わたしはその言葉に驚きました。

認知症になったら薬を飲み続けるものだと思い込んでいたからです。

そして家族で相談し、父は認知症薬をやめることになりました。

結果的に何もしないのが一番だった

認知症薬をやめると、副作用もなくなりました。

すると抗精神病薬も必要なくなり、最終的にはすべての薬をやめることになりました。

その結果――

父はとても穏やかになったのです。

今まで、

「なんとか進行を遅らせたい」

という思いで病院を探し、薬を試し続けてきました。

たくさんの時間と労力を使いました。

それなのに結果としては、

「何もしないことが一番よかった」

という結論にたどり着きました。

もちろん、いろいろ試したからこそわかったことです。

何もしないで最初から答えにたどり着けたわけではありません。

遠回りだったかもしれませんが、わたしたち家族にとって必要な過程だったのだと思います。

今だから思うこと

薬をやめてから父の状態は安定し、精神病院への通院も月に一度の診察だけになりました。

認知症介護には正解がありません。

ある人に効果がある薬が、別の人には強い副作用をもたらすこともあります。

だからこそ、「こうあるべき」に縛られすぎず、その人に合った方法を探していくことが大切なのだと学びました。

父の場合は、薬をやめるという選択が穏やかな日々につながりました。

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